天気:薩長ダービー。
例えば、
プロ野球で言うと、阪神と巨人の試合は「伝統の一戦」と言われる。
例えば、
早稲田大学と慶応義塾大学のスポーツ交流会の試合は「早慶戦」と言われる。
何かしらのライバル関係にある両者が対戦する場合は、特別な名称がつくものだ。
だがしかし、これが「阪神巨人ダービー」とか「早慶ダービー」と呼ばれるかと言うと、そんな呼び方はしていないと思う。
明日の2019年J2第37節、鹿児島ユナイテッドFCとレノファ山口FCの試合を「薩長ダービー」と呼んでいる企画を見かけるが、私個人としては、このJFL時代から使われている「薩長ダービー」に違和感を感じている。
「ダービー」とは、何かしらの共通項を持つ両者の間に成立する試合のことを指すのだと思う。
同じ土地であったり、同級生であったり、同じ志を持つグループであったり。
では、鹿児島(薩摩)と山口(長州)は「ダービー」なのか?
鹿児島と山口は別物である。それ単体では目立った共通項は持っていない。
たぶん、「薩長同盟があるじゃないの」と思われる方もいるのではないかと思うが、それならば「薩長ダービー」ではなく、「薩長同盟ダービー」と呼ぶべきだろう。
それでいながら、互いに何か特別な対抗意識を感じてしまうのは、その「薩長同盟」を含めた幕末のあれこれがあったことに他ならないからだろう。
ただ、ご存知の通り、薩摩と長州は主義主張が必ずしも最初から一致していたわけではなく、度重なる折衝をもって同盟にこぎつけた経緯がある。
ライバル視するのは大いに結構。
試合もその背景を背負って盛り上がって欲しい。
私個人の思いで今さら「薩長ダービー」の名称が変わるとも思っていないので、今後、「薩長ダービー」という言葉を見聞きしたときは、心の中で「それは『薩長同盟ダービー』の略称なのだ」、と自分を納得させながら生きていこうと思います。